ぼくのキャノン
e0087225_0535781.jpg その砲台が正午を告げる時、ドンという空気を振るわせる響きはない。静かに気根が絡まったキャノンは、沖縄の焼ける様な日差しを受けて真っ直ぐに影を落として正午を告げる。
 池上永一著「ぼくのキャノン」を読み終わった。おもしろい。荒唐無稽な村の話が次々と心を惹き付けて一気に核心へとなだれ込む。沖縄であった戦争の記憶、本土防衛の名の下に侵略した日本と、その日本と戦うために侵略したアメリカ。今なお褪せない太平洋戦争の記憶が浮かび上がる。
 池上永一にかかるとアメリカの神話も9・11テロ事件も物語の味付けにしかならない。まるでアニメのキャラクターの様な村に関わる人物達も、核心である「沖縄」を語るための布石にしか過ぎない。戦争を知らない世代、昭和を知らない世代をも含めて真実を語る巧妙な手口なのだ。
 一大リゾート地「沖縄」を愛して止まない人は多いが、何故今なお沖縄は沖縄のままなのか、それを知るためにこの本を読んでから飛行機に乗るべきであろう。作者の本意がくみ取れなかったとしても、十分に楽しめる娯楽性にあふれているこの本を読んで、損はないと思うからだ。


↑コトブキッ。


ぼくのキャノン
池上 永一 / / 文藝春秋
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by marshM | 2008-03-25 23:59 |
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