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体の記憶
e0087225_21223922.jpg 秋の日が暮れていく。わずかに肌寒く乾燥した空気と、茜色と言うよりは橙色に染まる空。郷愁を誘う色と肌触りだ。
 郷愁と言っても生まれ故郷を思い出すのではない。秋に旅したスペインの空、地中海の風だ。夕暮れのコスタ・デル・ソル、宵闇のグラナダ・アラブ人街、ジローナの不思議な祭り。頭が覚えていなくても体からじわりと記憶が引っ張り出される。
 そして夕焼けの記憶に引きずられるように思い出すのはイタリア、ミラノの石畳。何年も何十年も使われてきた石畳はすり減り、斜めに差す夕日を鏡のように照り返す。あれは春の日だったが、やはり乾燥して少し肌寒い日だった。
 次にヨーロッパを訪れるのはいつの日になるか。今度はどんな感覚が体に染み込んでくるのか、予定も立たないうちから楽しみでしょうがない。
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by marshM | 2012-10-25 21:37 |
それぞれの秋
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 台風の接近に伴う秋雨前線の影響で、天気の悪い日が続いている。九州に修学旅行に行った姪っ子たちは難儀を強いられている事だろう。
 天気が崩れる前の日、日暮れ前に外出した。秋と言えば西方からスポットライトのように差し込む太陽が、少し煙った空気を黄金色に染め上げるものだと思っていたが、山の向こうに日が沈むこのあたりではそんな風景は見られない。思えば横浜のような丘陵地帯が多い地域や、平野の広がる地域特有の景色なのだろう。オレンジ色の空に影絵のように浮かぶ富士山がちょっと懐かしい。
 台風が過ぎて秋晴れが戻れば更に日は短くなっている。つるべ落としの夕がやってくる。
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by marshM | 2012-10-18 17:23 |
追憶の空
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 姪っ子が来週修学旅行に行くらしい。近頃の高校生はどんな面白い所に行くのかと聞いてみたら、九州。ずいぶん地味な修学旅行だと思ったが、費用や原発事故の影響の事などを考えれば当然の結果なのかもしれない。
 秋が深まってきてこの時期そう言えばスペインに旅行をしたなと考えていたら、向かいに座るカミさんが「この季節になるとイタリアの事を思い出す」と言いだした。二人とも全く違う国の風景を思い浮かべていたくせに、同時にヨーロッパを訪れた旅の記憶を掘り起こしていた事がなんだか可笑しい。
 姪っ子の修学旅行の話を聞いた後、自分の修学旅行がどうだったか思い出そうとしてみたが、喫茶店をはしごした事と当時凝っていた一眼レフカメラをいじっていた事しか思い出せなかった。
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by marshM | 2012-10-14 16:38 |
秋の形
e0087225_1947187.jpg 考えている事が形になる前に崩れてパズルのピースにならない。砂のようにさらさらと落ちてくる物を手で受け止めてギュッと固めても、水気のない砂が風と共にまたさらさらと流れ落ちていく。
 午前中の秋の空は何処までも高く、午後になると人の営みに霞んだ空気に雲から漏れる光が映る。風が吹けば霞は消え去り、雲が厚くなれば光は遮られる。
 すっかり水の抜けた用水池に映る空をながめながら、とりとめもない事を考える。
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by marshM | 2012-10-13 19:58 |
夏のエネルギー
e0087225_19565177.jpg 夏が終わり秋が近づくと、一日の天気はめまぐるしく変わる。まだ日中は夏の熱量が残っているだけに、上昇したエネルギーは大きな雲を作り最後は雨と稲妻を生み出して大地に戻ってくる。
 空が広いと言うだけで何とはなしに一日の天気がどう変遷するか、朝の段階でわかってくる。気温、湿度、風向き、雲の割合。ビルに囲まれた小さな空を見ていてはできない事だ。
 太平洋高気圧が少しずつ後退して、秋の長雨が近づいてくる。今週の予報は雨、雨に冷やされて太陽のエネルギーが海へと流れていく。
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by marshM | 2012-09-06 20:03 |
夏の終わり
e0087225_2020342.jpg 今日、確かに夏が終わった。いつもと変わりのない青空と焼け付く日差しだが、少しずつ移り変わる変化とははっきりと違うものがそこにはあった。
 例えば絶えず肌を撫でる乾いた風や、高くまで見通せる空の色。五感が確実に今までとは違うと、夏は終わったのだと頭に囁きかける。
 太陽が南の一番高い場所に来る頃、まだ夏の様相を残す景色を見に散歩に繰り出した。まだ青い稲穂、水面に群れ集う小さな生き物。流れる汗に夏を感じていても、後はゆっくりと坂道を転がりはじめるように秋がやってくるのだ。
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by marshM | 2012-08-25 20:30 |
記憶の歪み
e0087225_19393748.jpg お盆を過ぎると夏の勢いは急速にしぼんでいく。日差しが傾き夜の空気がひんやりとし、ツクツクボウシが鳴き始める。とは言え、日中の気温はまだまだ真夏日。高空に糸のような雲が流れている日はモクモクと伸び上がった入道雲が雷をつれてくる。
 先日の夕方、山の稜線に沿って大きな積乱雲が立ち並ぶ姿は壮観だった。暗くなった空の下には雨のカーテンも引き連れている。所用があって電車に乗ると、丁度そのカーテンに向かって走り出した。山に近づくにつれ、雷の音が大きくなり、次第に暗くなる。ハッキリと見えていた雨のカーテンがぼやけて境目がわからなくなった頃、列車の窓を大粒の雨がたたきつけた。
 雨を引き連れた雲が印象的だったのは小笠原父島の山頂からのながめだった。絶海の孤島と海を渡る雲。しかし何処までもゆっくりと流れる時間の中では、それは一枚の絵として記憶に残る。あの雲が引き連れた雨のカーテンは父島の大地を濡らしたのかどうかは忘却の彼方。
 急行列車が時速100kmで雲と山の間を駆け抜けると、再び夕日の輝く街並みが姿を現した。雨は西の空に置き去り、何処を探しても虹は見あたらなかった。
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by marshM | 2012-08-23 19:56 |
夏祭りが終わって
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 公募展への出展での東京遠征や仕事に忙殺されている間に、ブログがすっかりおろそかになってしまった。書かない事を続けているとそれが日常になり、書く事が面倒な事になってしまう。これは由々しき事だ。
 公募展の展示期間、ほぼ毎日ギャラリーに顔を出し、たくさんの出展者の方々と話す機会を得た。そして、さすがに90点以上ある作品は毎日眺めてもどこかに発見があった。話す事でも見る事でも非常に強い刺激を受けた毎日。早く自分の制作環境に戻って何かを作りたい気持ちが日毎に増していった。
 二週間と言う時間は非日常を日常に変えてしまう。描かないのが日常になりかけて、やっとの事でスケッチブックにもそもそと落書きをし始めた。考えているだけではダメなのだ。
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by marshM | 2012-08-19 18:36 |
予告編
e0087225_2220633.jpg 梅雨の晴れ間の夕暮れは、いつの間にか遅くなった日の入りの時間に驚かされる。7時をまわってもまだ空が明るく、西日がしっかりと影を長く落とす。暖色に照らされた山並みを見渡して、はじめて自分の住み始めた土地を美しいと思った。
 私が育った横浜の街は、起伏が多く坂は急だが、高台から眺める景色はだだっ広い関東平野。遠くに大山連峰が霞に青く、その上に富士山が顔を出す。所々にこんもりとした緑が点在するが、基本はコンクリートと屋根瓦に埋め尽くされている。
 あの夏の日、入道雲のシルエットが幻の山並みに見えたのは、きっとこんな景色を連想していたのだろう。遠く霞にぼけた山並みではなく、ハッキリと見渡せるこんもりとした広葉樹のテクスチャー。やがて来る夜が明ければまた梅雨前線が北上する。夏の予告編はなんだかとてつもなく面白そうに思えるのだ。
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by marshM | 2012-07-03 22:41 |
レモンの生存競争
e0087225_237338.jpg 梅雨時の台風は、通り過ぎても“台風一過”と言った具合に晴れ渡る事はないようである。いつまでもジメジメとして、確かに雨期の到来だと思わせる雰囲気がある。
 刻一刻と近づく台風の進路を見据えて、一番風が強くなりそうな時間にレモンの木を室内に退避させた。まだ小さな小さなレモンの実が風に煽られてポロリと落ちるのを防ぐためだ。その甲斐あって今回の台風による被害はゼロ。我が小さき果樹園の平和は守られた。
 風が回り雨と共におさまった頃、ベランダの定位置に戻したレモンの木。翌朝確認すると一粒小さな実が地面に落ちていた。風も雨も当たらず、いったいどうして落ちてしまったのか。せっかく避難させたというのにこの始末、決して多いとは言えない残った実は、果たして黄色く熟れるまで成長できるのだろうか。
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by marshM | 2012-06-20 23:18 |