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天気雪
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 大晦日は気持ち良い青空。おせち作りに精を出すカミさんを尻目に、手早く家事を終わらせた私は近所のファーストフードに繰り出して喫煙シートでのんびりパイプをくゆらした。
 大きな窓からほど近い山並みを眺めていると、軒のように山の頂から伸び出した黒雲から薄煙のようなカーテンが降りてきた。と思うまもなく辺りは一片の大きな雪の舞いに包まれた。
 関西でも関東でも寒ければ寒い、暑ければ暑い、大して気候など変わらないと思っていたが、やはり日本海側からの湿った寒気を遮る山脈がないこの辺りは、関東のカラッ風とはちょっと趣が違うようだ。
 だんだん吹雪のように吹き付けてくる雪の中、スクーターに乗って家路を急ぐ。青空も見えている雪模様はどんなに降り続けても積もる事はない。年の瀬を強く印象付ける一日が過ぎる。
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by marshM | 2012-12-31 19:27 |
木蓮
e0087225_1254147.jpg 花粉舞い散る街をクライアントの会社までアフターケアに出かける。このクライアントに直接出向くのは特に問題がなければこれで最後だろう。明日の朝のパンがないので、家の最寄り駅でスーパーに寄る。
 駅前を一人でフラフラ歩くのは久しぶり。小さな新興住宅街だが駅前は店舗の移り変わりも激しい。ちょっと大きなインテリアショップがいつの間にか隣のもっと大きな駅前に移動して、ガランとしたフロアに貸店舗の張り紙。
 角を曲がってスーパーに通じる遊歩道に入ると、そこだけ薄暗がりの中にパッと華やかな印象が開けた。遊歩道の真ん中に植えられた木蓮が花を開きはじめたのだ。まだ暮れきらない空からの赤い残照と潔い程の白い花びらにさす微かなピンクが呼応して、冷たいコンクリートの通りになんとも言えない暖かさを醸し出している。
 木蓮の花は開ききると辺りを一面に花びらの色に染め上げる。落ちた花びらが朽ちていく様子を嫌う人もいるのだが、私は程よく厚みをつけた花びらが艶やかに開く様を見ると、なんとも嬉しい気持ちになる。ヒヨドリが好んでついばむのを見て、真似して花びらをひとひら囓ってみると西洋野菜のようでなかなか美味しかった事を思い出した。
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by marshM | 2007-02-27 23:59 |
夏至
e0087225_2140857.jpg 今日は夏至、甘味なる響き。通常使う言葉にはない独特の音が何か特別な事を指し示すようにも感じて、「夏に至る」と読むととたんに頭の中にダイナミックな情景が浮かぶ。
 残念ながら一日さえない曇り空、それでも湿度の多い空気に夏草の香りが漂う。むせかえるほど甘い香りはクチナシの花。その香りは忘れ去られた子供の頃のおもちゃ箱を開くように数多くの記憶を甦らせる。
 クチナシが夏の皮切りに思えるのはその咲く時期だけではない事に最近気が付いた。幼い頃、夏休みの一大イベントと言えば母親の実家がある東北への家族旅行であった。東北では少しクチナシの咲く時期が遅く、見慣れた自分の家より少しばかり立派な家は必ず甘い香りが出迎えてくれたように思う。そしてそれを思い出したのは南の島々で出迎えてくれるあの甘い香り。ティアレは太平洋に広く分布して、クチナシとも同族のようである。
 生命があふれかえる季節への到達、空港に降り立った胸躍る気持ちを甦らせる響きが私の「夏至」と言う言葉には秘められている。
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by marshM | 2006-06-21 22:14 |