<   2011年 10月 ( 16 )   > この月の画像一覧
朝食の風景
e0087225_1315465.jpg 田舎の日当たり良好な部屋から何故夏の西日しか入らぬ部屋に越したのか、それにはわけがある。
 仕事が変わって職場に近い部屋を借りるために何軒かの不動産屋を回っていたときに、とにかく占有平米の広い部屋ということで一つの物件を紹介された。窓から見える景色は川。海が近いので運河といったほうが近いかもしれない。目の前の川を時折船が横切る景色に、何かピンと来るものがあって出張中だったカミさんに写真を送ると、彼女は一発で気に入った様子。他にも何件か見せてもらったが、その部屋から見える景色に勝るものは無かった。
 結局二人の共通する選択はその景色だった。どこか数年前に二人で行ったベネツィアを髣髴とさせる、水と船。もちろんベネツィアとは雲と泥ほどの差があるが、あのアメリカ人オーナーのホテルで見た朝日に光る川と船を思い起こさせる風景は、二人の生活の場として何か強く魅かれるものがあったのだ。
 彼の地とは遠く離れた東京で、思いを馳せながら絵を描く。朝の食卓から船が横切る風景を眺めれば、洗濯物の乾き具合など物の数には入らないのだ。
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by marshM | 2011-10-31 23:59 |
都会の生活
e0087225_3215712.jpg 今住んでいる部屋は北西を向いている。部屋を選ぶ基準といえば日当たり良好と相場は決まっているのだが、あえて日の当たらない部屋を選んだのにはわけがある。そのわけはまた別の話として、日当たりの悪い部屋に住んで実際不便だと思うことは実は二つしかない。洗濯物の乾き具合と観葉植物の成長だ。
 洗濯物は風さえ吹けばよいとして、観葉植物にとっては死活問題だ。とは言え、日がさんさんと当たればそれで良いというわけでもない。中には強い日差しを嫌う植物もあるのだ。それでも風の流れの少ない密閉式の部屋では多肉植物はだめになってしまった。
 そんな過酷な条件でも窓辺に置いたりこまめにベランダに出してやることで八割は生きながらえている。案外虐げられてそれでも健気に生長している植物を見ていると余計に愛着もわき、手入れも頻繁になるものなのだ。
 都会の住宅事情は複雑で、日当たりが悪かろうが騒音がひどかろうが売れる物件はすぐに借り手がつく。観葉植物も人間も馴染んでしまえば強く生きていくのだ。生きるとは、そういうものなのだ。
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by marshM | 2011-10-29 23:59 |
気密ハッチ
e0087225_22392.jpg 最近のマンションタイプの物件は気密性が高くて、湿度が高いときは気をつけたほうが良いとは聞いていたが、これほどとは思わなかった。
 というのは、窓を閉めて換気扇を回すと、室内の気圧が下がって玄関扉が重たくなるのだ。かなり体重をかけて押し開けると、SF映画でよくある宇宙空間に出るときのハッチのような音がするのだ。それだけではない。エアコンは異音を発し、閉めた窓のわずかな隙間から空気が流れ入ってくる甲高い音が微かにする。通常気圧差があっても普通に開くはずの横スライド式のベランダ窓さえ、圧力に押されて開きづらくなるのだ。
 その昔高層マンションが流行り出した頃、高層に住む事による体への影響が取りざたされていたが、密閉式のマンションが体に及ぼす影響がそろそろ論じられてもいい頃なのではなかろうか。私としてはSF的に気分が盛り上がって嫌いではないのだが。
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by marshM | 2011-10-28 23:59 |
隠れ家
e0087225_0484783.jpg 東京に居を移して良かった事と言えば、遊ぶ場所が近くにたくさんあるという事だ。飲んだくれていても以前のように早い時間に終電を気にする必要が無い。仕事の利便のために越したはずがこれぞ本末転倒というわけだ。
 私の一番のお気に入りは歩いて数分のところにあるスタンディング・バー。7・8人も入ればいっぱいになってしまう狭いカウンターのみの店内に入れば、いつの間にかすっかり顔なじみになった常連さんたちが目で挨拶を送ってくる。もちろんバーテンも気持ちよいサービスとおいしいカクテルを出してくれる。
 いつも夫婦で話しているのだが、居心地のいい店とは店員や客同士が程よい距離感を保っている。常連だから特別扱いをするとか、誰彼かまわず客同士盛り上がるのはどうも私たちの性には合わない。その点ちょっとした有名人もふらりと顔を出すような店は、踏み込んでいい領域というものを心得ているのだ。
 週末の一時、心休まる居場所が我が家以外にもあるというのは良いものだ。一週間の損失パワーをチャージして、家路をたどる顔には自然と笑顔が浮かんでくる。
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by marshM | 2011-10-26 23:59 |
あの日
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 あの日から、いろんなことが変わった。みんなが色々なことを考えるようになった。そして、いろんな行動が生まれた。
 何ができるんだろう、そう考えた時、自分には何も無いことに愕然とした。生半可なことで同時に利益を得ようなんて、とても偽善的なことだ。かといって身を切ることもできない自分がそこにいた。
 もっともっと力をつけなくてはいけない。これからいくらでも起こりうるその時、そう、私は未熟ながらも奥の手を持っている。その時のためにもっともっと。
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by marshM | 2011-10-25 23:59 |
名医
e0087225_1185264.jpg かかりつけの歯医者。私が子供のころから通って、今も東京から横浜まで1時間かかって診てもらっている歯医者。浮気したことは一度も無く、歯医者嫌いになるほど下手ではなく、あの薬の入った色とりどりのガラス瓶が置いてあった少しお気に入りの場所。
 時は流れて歯医者もハイテクを導入するようになり、レントゲンは即座にモニターに映し出され、アニメーションで施術が説明される。器具も超音波や無針注射で患者の苦痛が極限にまで抑えられるようになった。だが、その待合室は心なしか子供の頃より空いているように思えた。
 帰りに気をつけて風景を見ていると、近所には数件の歯科医の看板。いつの間にか商売敵が増えたようだ。
 母親世代が慕って通った大先生ももう引退していない。何から何まで移り変わる中で、それでも私は馴染みの扉を開けるのだ。信頼とはそういうものだろう。
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by marshM | 2011-10-24 23:59 |
ネクターの誘惑
e0087225_1433836.jpg 一日歩き回ったあと、喉の渇きに任せて飲む炭酸飲料のおいしさと言ったら。二酸化炭素がはじける喉越しと疲れた体に染み入る糖分がよりいっそう渇きを癒してくれる。こんな時にSサイズのドリンクを頼んでしまうと、A&Wのお代わり自由ルートビアが恨めしく思えてしまう。
 だがしかし。アメリカで一時期問題になっていた肥満、それは糖分を多く含んだ清涼飲料水も一端を担っていたことを思うと、お代わり自由への大きな期待もしぼんでしまうのだ。この一杯に含まれる糖分がどんな影響を及ぼすのか、学生時代毎朝清涼飲料水を摂取していた自分には痛いほどわかるのだ。
 綺麗な花には毒がある。毒があるとわかるほど飲みたくなるそのへそ曲がり加減は、天然発泡水でも飲んで健康的に空気を入れなおしてやる必要があるかもしれない。
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by marshM | 2011-10-22 23:59 |
小春宵
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 都会は虫の数も住む場所も少ないらしく、あの虫の音にぐるりと包まれる感覚もないままにいつの間にか秋が深まり、肌寒い日々が続いている。
 週末は雨、その雨雲がやってくる直前、南に深く湾口を空けた東京湾に温かな風が流れ込む。温度差はそれほどでもないが、春まだ浅い日の肌に心地よい空気に似ている。
 深呼吸して歩き出すと、何かが起こりそうな、あのわくわくする春の夜を思い出して、心が浮き立つのだ。
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by marshM | 2011-10-21 23:59 |
そんなときは
e0087225_1185794.jpg 上を向いて歩こう、涙がこぼれないように。でも、なにも涙を気づかれたくないためだけに上を向くのがキクとは限らない。
 疲れているとき、気分が落ち込んでいるとき、気がつくと足元を見つめて歩いている。だから、わざと顔を上向かせて歩いてみたら、ちょっと気分が晴れた。空を見上げたら止まる事無い視界に気持ちが吸い込まれて、ちょっとだけ宇宙から力を分けてもらえた気がした。
 上を向いて歩こう、あるこう。
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by marshM | 2011-10-20 23:59 |
同じものを見る
e0087225_0504075.jpg  同じものを見て、同じ本を読んで、会話をする。不思議なもので感じ方は違っても同じ行動を重ねると価値観や考え方というものは似通ってくるものだ。価値観が似通ってくると人間関係も良くなってくる。おかげで我が家はケンカはしても結局上手くいっている。
 世の中の夫婦は会話が少ないらしい、と意識したのは、カミさんが職業柄いろんな人と触れ合う機会が多く、その話を会話の中で伝え聞いているからだ。疲れていても忙しくても、ちょっとだけ相手の話を聞き自分の話をすれば、きっともっと幸せになれるのだろうに、世の中いろんな意味で不幸な夫婦が多いらしい。
 ただひとつ、私の好みを知り尽くしたカミさんの言葉が姪っ子たちに私のことをオタクだとイメージさせている点においてだけ、弊害があると言わざるを得ない点がちょっとだけ不幸なのだが。
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by marshM | 2011-10-19 23:59 |