カテゴリ:景( 271 )
夏の終わり
e0087225_2020342.jpg 今日、確かに夏が終わった。いつもと変わりのない青空と焼け付く日差しだが、少しずつ移り変わる変化とははっきりと違うものがそこにはあった。
 例えば絶えず肌を撫でる乾いた風や、高くまで見通せる空の色。五感が確実に今までとは違うと、夏は終わったのだと頭に囁きかける。
 太陽が南の一番高い場所に来る頃、まだ夏の様相を残す景色を見に散歩に繰り出した。まだ青い稲穂、水面に群れ集う小さな生き物。流れる汗に夏を感じていても、後はゆっくりと坂道を転がりはじめるように秋がやってくるのだ。
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by marshM | 2012-08-25 20:30 |
記憶の歪み
e0087225_19393748.jpg お盆を過ぎると夏の勢いは急速にしぼんでいく。日差しが傾き夜の空気がひんやりとし、ツクツクボウシが鳴き始める。とは言え、日中の気温はまだまだ真夏日。高空に糸のような雲が流れている日はモクモクと伸び上がった入道雲が雷をつれてくる。
 先日の夕方、山の稜線に沿って大きな積乱雲が立ち並ぶ姿は壮観だった。暗くなった空の下には雨のカーテンも引き連れている。所用があって電車に乗ると、丁度そのカーテンに向かって走り出した。山に近づくにつれ、雷の音が大きくなり、次第に暗くなる。ハッキリと見えていた雨のカーテンがぼやけて境目がわからなくなった頃、列車の窓を大粒の雨がたたきつけた。
 雨を引き連れた雲が印象的だったのは小笠原父島の山頂からのながめだった。絶海の孤島と海を渡る雲。しかし何処までもゆっくりと流れる時間の中では、それは一枚の絵として記憶に残る。あの雲が引き連れた雨のカーテンは父島の大地を濡らしたのかどうかは忘却の彼方。
 急行列車が時速100kmで雲と山の間を駆け抜けると、再び夕日の輝く街並みが姿を現した。雨は西の空に置き去り、何処を探しても虹は見あたらなかった。
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by marshM | 2012-08-23 19:56 |
予告編
e0087225_2220633.jpg 梅雨の晴れ間の夕暮れは、いつの間にか遅くなった日の入りの時間に驚かされる。7時をまわってもまだ空が明るく、西日がしっかりと影を長く落とす。暖色に照らされた山並みを見渡して、はじめて自分の住み始めた土地を美しいと思った。
 私が育った横浜の街は、起伏が多く坂は急だが、高台から眺める景色はだだっ広い関東平野。遠くに大山連峰が霞に青く、その上に富士山が顔を出す。所々にこんもりとした緑が点在するが、基本はコンクリートと屋根瓦に埋め尽くされている。
 あの夏の日、入道雲のシルエットが幻の山並みに見えたのは、きっとこんな景色を連想していたのだろう。遠く霞にぼけた山並みではなく、ハッキリと見渡せるこんもりとした広葉樹のテクスチャー。やがて来る夜が明ければまた梅雨前線が北上する。夏の予告編はなんだかとてつもなく面白そうに思えるのだ。
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by marshM | 2012-07-03 22:41 |
廃屋
e0087225_23374669.jpg 今住んでいるすぐ近くに全く無人の集合住宅が放置されている。築年数も相当古いらしく、今では斬新ささえ感じてしまうほど独特な作り。きっと数十年前にはこんなアパートや社宅が「新しい」ともてはやされたのだろう。
 地方だから空き家が多いというわけでもない。以前住んでいた都内でも裏通りには誰も住まなくなった商店が手つかずで放置されていたし、生まれ育った横浜でも夏になると雑草に埋もれるようになるお化け平屋があった。
 土地も売らず建物も壊さないのにはきっといろんな訳があるのだろう。防犯上好ましくないと入口を板で囲ってしまうのもうなずける話だ。ただしかし、その存在が毎日前に進み続ける人間の生活に、アルバムのように時を留め差してくれるのも事実なのだ。
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by marshM | 2012-06-21 23:46 |
噪夏
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 今年、梅雨入り宣言が出されたと聞いた時に思ったのは夏がやってくると言う事だった。梅雨と言えばもう明確に春の終わりである。これから夏に向かう事はあっても春に戻る事はない。
 そして雨が降り出すと田んぼに水が入り、時を同じくしていろんな生き物を見かけるようになってくる。水路のカブトエビや藻をたくさん食べて緑色になったエビに始まり、小さな羽虫、甲虫、糸トンボ。遠くからはカエルの声も聞こえてくる。
 今年は賑やかな夏になりそうだ。
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by marshM | 2012-06-18 00:38 |
時を追って
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 西日本では梅雨入りが宣言された。朝から泣き出しそうだった空模様は、昼過ぎから雨に変わった。
 ここ数日、チョイノリで走り回っていると水田に水を張る作業と変化を見られて面白かった。思えばこんなに水田を身近に感じた事は記憶にない。夏の稲穂が実りはじめた頃にぽつんとたたずんだ事や、稲刈りの後の凸凹した切り株の上を歩いた事、稲の生長をとびとびでしか見ていない。
 この夏は稲が徐々に伸びていく姿をじっくり毎日眺められる。そんななんでもない事が少し嬉しかったりするのだ。
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by marshM | 2012-06-08 23:59 |
一日の始まり
e0087225_2093725.jpg 毎朝10時を過ぎると窓の向こうから声が聞こえてくる。少し離れた大通りに並ぶ低いビル群のどこかから聞こえてくる声。
 耳を澄ますと女性ばかり数人から10人前後の朝礼の声だとわかる。店で客に対して使う言葉を斉唱している声は、なんだか発声練習をしている女優の卵達を思い出す。
 今日も10時をまわると声が聞こえてくる。元気に一日が始まる。
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by marshM | 2012-05-25 20:19 |
大きな空
e0087225_23352756.jpg 金環日食の日、我が家の周辺は気持ちよく晴れ渡った。遮る雲はなく、急遽手に入れた日食眼鏡と3倍太陽観測双眼鏡が大活躍した。
 たかだかマンションの3階ほどの高さ。それでも周りに普通の住宅ばかりだと、空は大きく広い。欠けていく朝の太陽をダイニングの床に座り込んで眺めるなど、あの北西を向いた都心の部屋では想像もつかなかった。
 奇跡的に回復を見せた空模様も、次の日には一転して雨になった。夕方雨雲が切れて晴れ上がった東の空には大きな虹。空が大きいと虹も大きく見えた。
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by marshM | 2012-05-23 23:44 |
桜色の海
e0087225_144782.jpg 先日、東京湾に流れ込む川を眺めていると、行き来する船の航跡がいつまでも消えないことに気が付いた。
 いつもなら船の航跡などすぐに興味をなくしてしまうのだが、その日は何だか様子が違った。航跡の色が泡立つ海の色ではないのだ。うっすらとしたピンク色。桜の花びらの色だった。
 たぶん、潮の満ち引きによって支流に溜まっていた桜の花びらが流れ出したのだろう。徐々に流れ出して集まる桜の花。そのまま流れていくとしたら、どこかに桜色に染まる海というのもあるのだろうか。
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by marshM | 2012-04-21 23:59 |
ランチの敵
e0087225_133040.jpg 日差しが暖かくなり風が緩むと、外でランチをしたくなる。おあつらえ向きに事務所の近所にはランチを広げられる公園や広場がたくさんあって、今日のような暖かい日にはハンバーガーでも買って日向ぼっこをしたくなるのだ。
 だが世の中そんなに甘くはない。こんな日には花粉もたくさん舞い上がっているのだ。ゴールデンウィークをすぎる頃にはひと段落着くはずなのだが、例年より飛散量の少ないといわれている今年の花粉、少しばかり早めにピークを終えてくれないだろうか。
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by marshM | 2012-03-28 23:59 |