嗜好の価値
 美しいパイプを見つけた。以前パイプ作家の話を通した馴染みの煙草屋は、古いパイプも豊富に揃えている。ホームページに出ていたそのパイプを、パイプ煙草を買うついでに手にとって見せてもらった。
 それは北欧のパイプ作家の作で結構有名な物らしい。手に取るとどこから見てもラインに破綻がない。そして小さく軽い。軽いというのはパイプにとってとても重要な事、重たいパイプは始終手を添えていなくてはならない。そして驚くべきはその価格、既に亡くなってしまったその作家のパイプは15万円もする。
e0087225_0245215.jpg 人によって何にお金をつぎ込むのか、その価値観念は様々である。しかし私にとって15万円のパイプは量販店で揃えた服にブランド物のバッグを合わせるような物だ。スタイルとしても経験としても不釣り合いなのだ。加えて日本の奇妙なパイプ事情が心に引っかかる。まだインターネットが普及する以前のある時期にパイプブームが起こった時、パイプは紳士の高級嗜好品として扱われ値段は仲卸業者の言い値で飛ぶように売れた。それが世界的に同じような扱いであったかというと、どうやらそうではなかったらしい。
 よく考えてみれば新しい作家でも良い物を作る人は沢山いる。何も美術工芸品を手に入れるまでもなく道具として扱うにはそれでも十二分なのだ。趣味嗜好の世界は奥が深い。深いだけに周りが見えなくもなるが、せめて自分は身の程にあった楽しみ方という物を身につけたいと改めて思うのだ。


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by marshM | 2008-11-01 23:59 |
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