サマー/タイム/トラベラー
e0087225_1854378.jpg SFの中でもタイムトラベラー物はどことなくノスタルジックでもの悲しいと思うのは、私の勝手な思いこみだろうか。
 新城カズマ著『サマー/タイム/トラベラー(1・2)』は、物語の始まりから喪失感にとらわれる。数秒・数メートルの時間と距離を跳ぶ事が出来る女子高生の悠有、それを取り巻く幼なじみのタクトと3人の個性的な仲間達がそれぞれの思いでタイムトラベルの可能性を追求する一夏のプロジェクト。ほんの少し未来に跳べる時をかける少女は、過去へ戻る事が出来ない。プロジェクトの可能性と共に大きくなるあらかじめ失われた未来が、読み手の心にに不安をかき立てて行く。
 「時間改変も平行宇宙もない、ありきたりの青春小説」と帯がうたう通り、『スタンド・バイ・ミー』の主人公のように清々しい喪失感で物語は閉じ、まるで自分の学生時代に失った何かをひっそりと呼び覚まされたかのようにポッカリと時間のない空虚が後に残る。
 タイムトラベル、失われた未来、確かにあった過去。手に入れるべき未来のために何をするべきかをふと考えさせられる。『夏への扉』を面白いと思う方は手に取ってみて欲しい。

サマー/タイム/トラベラー (1) ハヤカワ文庫 JA (745)
新城 カズマ / / 早川書房
ISBN : 4150307458
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(2冊で完結)


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by marshM | 2008-05-09 18:34 |
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