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陸の貝
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 朝からそぼ降る雨。予定していたチョイノリでの買い出しも中止。水溜まりの出来る庭を眺める。
 庭の柵の下、ブロックで出来た土台の上になにやら砂をまいたような様に広がる物があり、近付いて調べてみる。小さな小さな貝、カタツムリとは違って巻きが細長く尖った貝が沢山集まっていた。調べてみるとやはりカタツムリの仲間には入らないらしい。陸貝の一種。
 ウチの居間には一つだけ大きな貝殻が飾ってある。
 遅めの新婚旅行で行ったランギロア島で、私たちは無人島に5つしかないランプのコテージに泊まった。一日海を見てのんびり過ごすのだが、昼ご飯を食べるとホストのミッシェルが同じ環礁の中の小さな島に船で連れて行ってくれる。雑多な国籍の5組の客が、海に潜ったり散歩したり、思い思いにゆったりとした時間を過ごす。
 私はというとほぼ最初から最後まで海に潜りっぱなし。おかげで土産物屋に良くある大きな貝を拾う事が出来た。土産物で見るのは貝殻だが、生きた物を見るのは初めて。ミッシェルに見せると「俺が持って帰れるようにしてやるから寄こせ」とフランス訛りの英語で言う。
 翌日、ミッシェルから煮込んで中身を取り出した貝殻を渡された。中身はどうなったのかと気になったが、あえて聞かずに礼を言って受け取った。大人の握り拳ほどもある立派な貝殻である、丁度良い思い出の品になった。
 その時浜で拾った他の貝殻達は小さすぎて庭で干しているウチにそこらに散らばってしまった。散らばった貝殻と陸貝を見比べると、夏が来る前に梅雨を向かえねばならない日本の気候に恨めしさを覚えるのだ。

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by marshM | 2007-05-25 23:59 |
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