風に吹かれる
e0087225_1974921.jpg
 晴れた日に空に浮かぶ雲を眺めながら暖かい風に吹かれると、小笠原は父島で一番高いと言われる小高い丘に登った事を思い出す。
 父島は沖縄や南太平洋の島々のように珊瑚が堆積して出来た島ではない。火山噴火による隆起のその姿も荒々しく、三方を険しい崖に囲まれ、たくましい腕に抱かれるように天然の良港が一カ所存在する。ミニバイクでのんびり坂を上ると島の裏側に通じ、そこから数分歩くと中央山、一番高い場所に到達する。
 その場所に立つと360度ぐるりと周りを見渡す事が出来て、どこを見ても水平線と雲が続き、絶海の孤島とはこの事かと感慨に耽る。西から次々に流れてくる積雲が何もない海面に雨を降らせ、灰色のカーテンを引きながら島を横切っていく。
 日が暮れて空気に雨の香りが漂うのは気のせいかと思っていたが、案の定雨が降り出した。あれから5年以上の月日が経った事になるあの丘の上、今は誰が風に吹かれているのか。
[PR]
by marshM | 2007-02-22 19:42 |
<< カーブミラーの空 冬眠醒めやらず >>