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大人の絵本
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 うちのカミさんが私に絵本を選んできてくれた。早速近所の本屋で一冊購入、一冊注文する。
 購入した絵本を読んでみる。「ポテト・スープが大好きな猫」 テリー・ファリッシュ/作、バリー・ルート/絵、村上春樹/訳。アメリカの田舎町に住む老人と猫。何気ない日常のズレと変化。猫を飼った事のある、猫好きの人なら必ずお気に入りになるであろう作品。犬とは確実に違う言葉のないコミュニケーション。
 以前、小学生の女の子二人姉妹を持つ人に絵本を送った事がある。何を送ったかは覚えていないが、子供達にウケけたかどうか訪ねた際に「大人には面白いが子供にはちょっと難しい本」との返事をもらった。うむ、そんな事もあるか、大人が選んだのだから子供には理解しがたい物かとちょっとがっかりした。
 時が経ち、今年もまたアカデミー賞で宮崎作品がもてはやされていた頃、宮崎駿氏のインタビュー記事で、子供には難しいメッセージだと大人は思うかもしれないが、子供は子供なりに理解しているんですという趣旨の文章を読んだ。確かに、子供の頃読んでもらった絵本のメッセージなんて、読んでもらった本人は理解していなかった。読んでもらう間、すみっこの蟻が砂糖を運んでるとか、こっちのカニはひっくり返ってるとか、大筋とは関係ない所を目で追っていた記憶がある。そして、ある日ふと思い返して「あぁ、なるほど」と気が付くのである。
 大人向けの絵本?そんな物が存在するとしたらアダルトショップの中だけなのだ。大人が選んだ良い物を子供達は理解しているのである。そうでないとしたら、見せ方が悪いに違いない。一緒に読んで楽しむ事が大切なのではないだろうか。
 ポテト・スープが大好きな猫は電気毛布の上で寝坊する。そんなすれ違い、大人でないとわからない機微な表現であるが、きっと子供の心にも深く浸透するであろう大人からのお勧め絵本。
ポテト・スープが大好きな猫
T. ファリッシュ B. ルーツ 村上 春樹 / 講談社
スコア選択: ★★★★
by marshM | 2006-03-16 13:50 |
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