ピッツァで苦い思いをした私たちは、銀座に繰り出す事にした。イベリコハムを肴にシェリーを一杯ひっかけて帰れば気も晴れるだろうという魂胆である。 いつも行くシェリーバーは平日という事もありそれほど混んではいなくてカウンターの良い席に陣取る事が出来た。程なくカウンターの客はすべて帰ってしまい、マスターを独占状態。シェリーやヨーロッパの歴史の話題でひとしきり盛り上がる。 盛り上がりついでに衝撃的な事実が知らされる。なんと訳あって二月一杯で店を閉めるのだそう。それならばとスツールの上で居住まいを正し、朝まで体制に切り替える。 その店で必ず楽しむ事の一つにシガーがある。短めのシガリロと甘いシェリーの組み合わせは陶酔の時間の中を漂わせてくれる。マスターはシガーの種類に合わせてシェリーをいつも選んでくれるので、シガーさえ好みの物を選んでおけばはずれという事はない。しかしこれからはどこで楽しめばいいのやらと嘆くと、では客として他の店にご一緒しましょうとマスター。それもまた、面白い話である。何かとお忙しいマスターの事であるから実現するかどうかは別としても、そう言ってもらえただけでも何だか得した様な、自分で楽しみを開拓するために背中を押された様な、しぼんだ気持ちがまたふくらみはじめるのである。 結局始発まで私たちともう一人長野から来たという客とで盛り上がり、すっかり店じまいの白々とした雰囲気の広がる銀座の通りを帰る事となった。もちろん、皆でラーメン屋のおまけ付き。 銀座のシェリー専門バー、スペインにてヴェネンシアドールの資格を得た中瀬航也氏の「シェリー・ミュージアム」は2月28日まで。
by marshM
| 2006-01-12 15:49
| 楽
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