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恒星間宙行士の憂鬱
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 近頃のマンションタイプの建物は壁は厚く窓は密閉式で、窓さえ閉めておけば騒音も少なく隙間風が入ってくる心配も無い。その代わり、風が吹こうがゲリラ豪雨が降ろうが気がつかない。窓を開けて、ベランダに出て初めて何かしら痕跡があって気がつくことが多い。
 建物の構造的な事だけが原因でもないだろう。階数が上で地面から遠い、風が抜ける電信柱や樹木が離れた所にある。前の家では風呂に浸かれば通気口や換気窓から竹林を渡る風の音が聞こえてきたが、全く窓の無いユニットバスに浸かっていると微かに機械的なノイズが聞こえてくるばかり。まるで古いSF映画の恒星を巡る船、星を渡る宇宙飛行士の孤独を連想させる。
 休みの日に早起きをしても外の様子が今までより伝わってこないから、一日時を過ごした実感の無いままあっという間に暗くなる。なんだか損をしているようだが、これにも利点はある。真冬でも外界と隔絶されてるから夏を連想しやすいのだ。などと建設的な思考をどこかで鼻で笑っている自分がいた。
by marshM | 2011-12-14 23:59 |
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