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繋ぐもの
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 電話をしてきたのは久しく顔を合わせていない友人だった。近況の報告から話し始めたのだが、本題は彼の見てきた風景の事だった。
 数年前の酉年、年賀状に南国の飛行場の風景を描き、飛行機の尾翼に鶏のマークを入れた事があった。報道に携わる仕事に就く彼は、最近南鳥島へ取材で訪れる機会を得て、日本から南へ千km余りの距離を飛行機で飛び越えた。降り立った小さな飛行場で見た風景を見て私の絵を思い起こしたというのだ。
 記憶を掘り返してみると、その絵を描いた時に思い浮かべたイメージは南太平洋の小さな環礁に作られた飛行場だった。広い海に点在する島々を巡るアイランドホッパーと呼ばれる双発のプロペラ機は、焼け付くような太陽の下に降り立ち、機体に備え付けられた階段を下りると遠く離れた空港施設までは椰子の小さな木陰しか陽を遮る物はなかった。
 降り立った国は違うが、それぞれ太平洋の小さな小島に作られた滑走路で強烈に焼き付いた風景は、一枚の絵を介して一つの感覚を共有する事ができたのだ。そしてそれを知らせてくれた友人の気持ちが何だかとてもありがたかった。



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by marshM | 2010-01-15 23:59 |
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